ファミリーハウス・フォーラム報告書

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はじめに

 日本で小児慢性特定疾患をはじめとする重い病気と闘っている子どもは、10〜20万人といわれています。そのうち、自宅から離れた病院での治療が必要な家族には、「病院近くのわが家」として過ごせる場所として、患者家族滞在施設が必要です。こうした滞在施設のことを英語では、ホスピタル・ホスピタリティ・ハウスと呼びます。
 私ども認定NPO 法人ファミリーハウスでは、東京都中央区にあります国立がんセンター中央病院小児病棟(当時)のお母さんたちからハウスを求める声があがり、1991年からハウス活動を展開してきました。そして、この活動は「付き添い家族の経済的、精神的負担を軽減する」という必要性から全国に広がり、現在は全国で約70団体が約125のハウスを非営利で運営しています。

 しかし今やハウスは、単に経済的負担が少なく宿泊できるということに留まらず、トータルケアの一環として、病気の子どもと家族の「その人らしく生きる」を支援することを目的に運営されています。近年では、医療の進歩や医療政策の転換から、ハウスに求められるニーズも多様化・高度化の兆候があります。

 そこで、多くの医療関係者や一般の皆さまに、トータルケアにおけるハウスの役割を知っていただくことを目的に2013年より「ファミリーハウス・フォーラム」を開催しております。本報告書は、2016年8月に実施したフォーラムの内容をまとめたものです。

 今回は、初めての国際的なフォーラムでした。英国から小児ホスピスの専門家と利用経験者を招聘いたしました。ホスピスや緩和ケアは、身体的・心理的・スピリチュアル・社会的な苦痛を緩和するためのケアのことです。終末期だけではなく治療開始とともに始まるケアであり、患者とその家族の「生きる」を支えるための「トータルケア」です。
 フォーラムではまずファミリーハウスの活動を紹介し、お一人ずつ講演をしていただきました。ブリストルロイヤル子ども病院小児緩和ケアリエゾン看護師であるフランシス・エドワーズ氏は、小児緩和ケアの専門看護師としての豊富なご経験から、緩和ケアで大切なのは「そばに寄り添うこと」であり、ファミリーハウスは「家族が落ち着いて自分の心と向き合える場」としてとても重要な役割を担っていると話してくださいました。
 また、元シューティングスターチェイス理事のダン淳子氏は、小児ホスピスの利用経験者の立場から、闘病生活を送る家族はそれまでの日常生活から切り離された日々を送るからこそ、「日常を保つことが大切」「心身ともに社会から孤立してしまうので、普通の生活をおくるために支援が必要だった」というメッセージがありました。
 最後のパネルディスカッションでは、東京慈恵会医科大学医学部看護学科小児看護学講師の永吉美智枝先生によるファシリテーションで、講師のお二人からさらにコメントをいただき、また参加者の皆さまとも活発な意見交換が行われ。ファミリーハウスにおけるケアについて検討を深めることができました。

 フォーラム当日には、医療関係者をはじめとして204名の等の皆さまに来場いただきました。参加者アンケートでは、医療関係者の89%が「病気の子どもと家族のトータルケアを実現するチームの一員に、ファミリーハウスが加わる必要がある」と回答いただき、ファミリーハウスの役割に期待感をもっていただけたことに感謝をしております。

 今回のフォーラムで、ファミリーハウスが設立当初から大切にしてきた「患者家族を見守り、家族の自立を支える」ということの重要性が明確になり、それを特に医療関係者と共有できたことは、今後の医療関係者とハウスの連携強化に向けて貴重な一歩となりました。

 近年、治療中の子どもが一時外泊などでハウスを利用することが多くなっています。そこで現在、ファミリーハウスでは「理想の家」「今までにない新しいハウス」として、病院から歩いてすぐのところに、医療器具を付けたままでも利用できるハウスを新たに開設するために検討を重ねています。実現のためには、医療・福祉の専門職の皆さまとの連携をはじめ、広く社会の皆さまのご理解とご協力が不可欠です。引き続き、活動へのご理解、ご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

 本事業は、公益財団法人JKA の「平成28年度オートレース補助事業」の助成をいただいて実施いたしました。また、本事業を実現することができましたのは、英国よりお越しいただいたエドワーズ・フランシス様、ダン淳子様、パネルディスカッションのファシリテーションをしていたただいたパネリストとしてご登壇いただきました永吉美智枝先生、本事業の検討委員の皆さま、ならびに運営にご協力いただきました皆さまのお力の賜物と感謝いたします。その他、多方面の個人・企業・団体の皆さまからご協力をいただき、本事業を実現させることができました。心より感謝申し上げます。

理事長 江口八千代

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